我ながら、あっけない終わりだった。

 こんな中途半端なことになるのなら、いっそ自ら玉砕しに行った方が良かったのかもしれない。後悔だけが怨念のように渦巻いているせいで、せっかく止まった涙もまたぶり返してしまった。震える呼吸を必死に整えつつハンカチで拭おうとバッグを手に取ると、何やらサイドポケットから小さな振動が伝わってくる。そこにはいつもスマホを入れているから、メールか何か届いたのだろうか。

 日頃の習慣とは恐ろしいもので、泣いていようがいまいが変わらずスマホの受信確認は出来るらしい。別にスマホ依存症というわけではないのだからこんなときくらい放っておけばよいものを、それが出来なかったのはメールにしてはやけに長いバイブを発動させていたからだった。

 誤作動だろうか。それとも、アラームか何か設定していただろうか。

 不審に思い画面を確認して、思わず端末を落としそうになってしまった。ディスプレイには、先程逃げて来てしまった人物の名前が表示されている。おまけにメール受信のお知らせではなく着信画面が展開されているから、心臓は大きく駆け出した。

「(……ど、どうしよう)」

 どのボタンを選択すべきか、親指が迷っている。だってこんな状態で、一体何を話せと言うのだ。すっかり鼻声になってしまっているというのに、こんなの泣きましたと言わんばかりだ。絶対に安室さんに気付かれてしまう。

 だから着信応答は出来ない。でも無視するのも気まずい。いや、今以上に気まずくなることはないな。そう分かっていても決意が出来ずひたすら震えるスマホを見つめていると、突然うんともすんとも言わなくなってしまったかと思ったら、いつもどおりのロック画面へと切り替わってしまった。どうやら着信が切れたらしい。

 深い溜息をついてからひとまずホーム画面で改めて着信を確認する。安室透。間違いなくそう書いてある。留守電は入っていなかった。……やっぱり、取れば良かっただろうか。履歴の名前をじっと見つめていると、まるでそれに答えるかのようにそれはまた突然震え出す。しかしどうしたことか、たった今電話を掛けて来た人物と同じ名前がディスプレイに表示された瞬間、何を考える前に赤いボタンを押してしまった。お陰でスマホはまた眠り出す。

「あっ……」

 やってしまった。ついにやってしまった。応答せず放置していれば「着信に気付かなかったんです」という言い訳が出来たと言うのに、こんな反応をしてしまえばまるで「あなたからの電話は取りたくありません」と拒否しているようなものではないか。血の気が引いていくのが自分でも分かる。気が付けば、すっかり涙は引っ込んでしまっていた。

 これは自分から掛け直すべきなのだろうか。でも、そんな、一体何を言えば──。

「ひっ!?」

 再び握りしめていた端末が震え出したせいで、間抜けな声が出てしまった。発信者は勿論変わらずあの人だ。静まり返って数秒も経っていないというのに、意外と彼はせっかちなのかもしれない。……しかしなぜだろう、「言い訳は良いから早く取れ」と言っているように感じるのは。

 電話を切ってしまったから、着信に気付いているということはもう知られている。そしてそれが数秒前なのだから、まだ手にスマートフォンが握られていると言うことも彼は分かっているのだろう。もう逃げられないと覚悟を決め、そっと応答ボタンを押した。

「……も、もしもし……」

 喉から出てきたのはか細く頼りない声で、自信なさげに震えていた。気まずさも相まって、なんだかうまく話せない。ぐすりと鼻を啜った。

「……なんで切ったんですか」

 やけに低音な第一声は、急に立ち去ったことではなく、着信を拒否したことを咎めるものだった。気になっていたのはそっちなのかと思いつつ「すみません」と謝罪するも、彼からそれ以上の声は帰って来ない。だから私も何も言えないままでいる。だけどもしかしたら、安室さんは私からの謝罪の言葉を待っているのかもしれない。タイミングを渋っていると、チョコレートケーキ、という単語が聞こえて来た。

「……えっ?」
「テイクアウト用にしてもらったので、お持ちします。今、どちらに?」
「え、っと……」

 ケーキですか。と、聞き返したくなってしまった。てっきり私を心配して電話を掛けて来てくれたのかと思ったら、ケーキの確認がしたかっただけなのか。……そうなのか。ひょろひょろと視線が落下していく。するとピンクベージュのパンプスが視界に入った。春らしくて可愛らしい色だから、安室さん、女の子っぽいって思ってくれるかも。そんなことを考えて上機嫌に靴箱から出したことを、唐突に思い出した。

「その……っ」

 どうしたことだろう、また声が震えている。だめだ、どうしよう、止まらない。左手の甲を口に押し付け耐え抜こうとしたところで、電話の向こうで彼が私の名前を呼んだ瞬間、全てが崩壊した。

 もう私は、正しい言葉を発音することすら出来ない。謝ることも出来ない。ただ泣きじゃくってしまう私は、周りからの視線すら意識の彼方へ消し去ってしまった。

 本当は私、安室さんのことがすきだったんです。だいすきだったんです。だからあんな話聞きたくなくて、逃げ出しちゃったんです。そう伝えるために電話を取ったのに、「すみません」の一言も満足に言うことが出来ない。まるで、子どもの頃に戻ってしまったようだ。

「──君は相変わらず、よく泣く子だな」

 どこか懐かしむような優しい電波の音に顔を上げたのは、スマホからではない場所から全く同じ声が、しかもクリアに聞こえて来たからだった。呆然と見上げる視線の先に、今まさに通話しているはずの相手が立っている。思えば泣きすぎて頭がくらくらするし、これは幻覚か何かだろうか。

 今まで泣くことに必死でいつの間にか切り離されていた外部の世界の音が、突然耳の中に入り込んで来た。噴水から湧き出る水の音、電車のドアの閉口を告げるベルと駅員のアナウンス。大通りを走る車のエンジン音と、人々の話し声、靴の音。だけどどれも、まるで私とは一線を引いているかのようにどこか遠く聞こえてしまう。彼の声は、あんなにはっきりと聞き取れたというのに。

「えっと……」

 困惑の色に染まって抜け出せない私とは裏腹に、安室さんと思われる彼は相変わらずスマートフォンを右耳に当てたまま隣に腰掛けてきた。ふと背後の水面へ視線を落とすと、彼が反射して映っている。だからどうやらこれは幻覚ではないらしい。ぽかんと口を開けたまま隣の彼を見るも、安室さんは決してこちらに視線を交えようとはなかった。

「先程急用を思い出したと言っていましたが、僕もあなたに用が出来ました。すみませんが今日は予定を変更して、僕に付き合ってください」

 目の前にいるのだから直接言えば良いものを、電話を切ることなく、ただ淡々と語り掛ける安室さんの横顔に頭が回らないでいる。ただ勢いに押され、「ええと、はい」と力なく肯定することしか出来ない。語尾が若干上がってしまったのは、現状を理解出来ていない表れだった。

 なんでここが分かったんですか。用ってなんですか。なんで電話切らないんですか。

 聞きたいことはあるのに相変わらずうまく声に出来ずただ黙り込む私を見かねてか、彼は「少し、移動しましょうか。ここは人の目がありすぎる」と提案した。その声に周りを見てみると、なるほど通り過ぎる人々の好奇を隠しきれない視線が私に集まっている。

 申し訳なさ程度にちらちらと盗み見てくる彼らも、確かに駅前で泣いている女がいれば一体何があったんだと不思議に思うのは無理もなかった。全身の熱を上げた私は、彼の意見に賛同するしかない。腰を上げた安室さんに続くように立ち上がった。

 気まずさは勿論あったものの、ここで逃げ出すわけにもいかず、ただ彼の背中を追って歩くことしか出来ない。その間、私達は相変わらず通話終了のボタンを押すことはなかった。ふと彼の左手を見れば、本当にテイクアウトしてきたらしい白い箱を手に持っている。

「ちなみに何故あそこが分かったのかと不思議に思っているのかもしれませんが、声と一緒に水の音や電車のアナウンスが聞こえれば、東口改札前にある噴水付近にいることくらい容易に想像できます」
「あ……」

 なるほど私は無意識に居場所のヒントを出していたらしい。そういえばこの人は探偵だったと思い出した。いや、安室さんにとってはこんなもの推理でもなんでもないレベルのものだったのだろう。しかし動揺する心はわずかに安堵していた。それは彼に見つけてほしいとずっと願っていたからだ。

 ……だから決めた。今、決めた。

 安室さんが連れて来たのは、彼の愛車を止めていた駐車場だった。どこか移動しようと言うのだろうか。鍵を開けた安室さんは私に助手席へ座るよう促して、先に車内へと入ってしまった。……もう、本当に逃げられない。数秒ドアの取っ手をじっと見つめゆっくりと深呼吸をひとつした後、車内に乗り込んだ。

 安室さんはエンジンを掛けることもシートベルトを着用することもなく、ただまっすぐにフロントガラスを見つめていた。私はどうしたらいいのか分からず視線をあちこちに泳がせるばかりで何も言えない。しばらく沈黙が続いた後、相変わらず二重に聞こえる声で安室さんが言った。

「僕のことを、嫌いになりましたか?」
「えっ?」

 事実と真逆のことを尋ねられ、彼が今何の話をしているのか全く理解することが出来ない。安室さんのことを、私が嫌い? どう転がればそういうことになるのだろう。それともこれは何かの謎解きなのだろうか。

 だけど確かに、嫌いに慣れたらどれだけ楽だっただろう。そう分かってはいるものの、すぐに断ち切れるほど、この想いは安易なものではなかった。彼に想い人がいる以上、不毛すぎる恋は早く捨てなくてはならないというのに、相変わらず私の心は彼を想いたいと叫んでいる。私はまだ、安室さんに恋心を抱き続けているのだ。

 しかし彼は、まるで言葉の通りの意味だと言わんばかりに話を続けている。これにはたまらず「な、なんで私が安室さんのことを嫌いなことになってるんですか……?」とストップを掛けると、彼は暫く間を空けて、ようやくこちらに顔を向けて言った。

「違うんですか……?」

 目をぱちくりさせている彼は本心で言っているらしい。なんでこう、普段は頭が回るのに、こういうことに関しては鈍感を極めてしまっているんだ。それともわざとなのだろうか。そう思わずにはいられない。きっと私が急に立ち去ったから、勘違いをしてしまったのだろう。

 しかし嫌いになったわけではないと否定してしまった手前、必然的にその理由を話さなくてはならないことに気付いてしまった。思い出したように心臓が走り出す。

「き、嫌いになったんじゃなくて、その……」

 むしろすきなんです。ということはしまい込んで、他の言葉を探すべく少し間を置いてから続きを紡いだ。

「……き、聞きたく、なかったんです……」

 ──分かっている。このままでは私が“何を”聞きたくなかったのかということが、彼には分からない。伝わらない。そう、つまりきっと私はまだ往生際が悪く誤魔化そうとしている。噴水前に安室さんが来てくれたあのとき確かに想いを伝えようと心に誓ったけれど、今だって舌に乗せようと思えば出来るけれど、いっそ口にしてすっきりしてしまいたいけれど、だってこんなの、どう考えても安室さんを困らせてしまうだけだ。

 私は彼が優しい人だと知っている。そんな人に「ごめん」なんてつらくなるような言葉を言わせたくはなかった。いい子ちゃんになるつもりなんてこれっぽっちもなかったのに、私は安室さんの優しい笑顔がすきだったから、どうしてもそれを歪ませたくはなかった。

 引き下がるのもまた愛ですよ。いつか言った彼の声が頭をよぎった。

「その、恋愛相談された経験なんてそんなないですし、やっぱり私じゃお役に立てないですよ! だからその、これは柄にもなくプレッシャーという意味で……」

 明るい声はちゃんと出せているだろうか。違和感なく笑って映っているのか自信がない。だけど私は、これを最後まで押し通さなければならない。例え、じっと見つめてくる彼の視線がつらくても。

「……だから……つまり……」

 喉の奥が震えるせいで、頬が引き攣って来た。……だめだ、安室さんのまっすぐな目を前にしては、何もかも見透かされた気分になる。嘘をつけない。

 私は彼の目がすきだった。無邪気な笑顔もすきだったけれど、いつもじっと私を見てくれるまっすぐな目が、何よりだいすきだったのだ。それがまるで、目の前のことに真摯に向き合う彼の強さのような気がしたから。

 どうしたことだろう。手が震えて、スマートフォンを耳の横で持つことすら出来なくなってきてしまった。ゆっくりと下がる右手の握力はいつの間にか消え去って、どうしたことかスマホを零れ落とし膝の上に着地させてしまう。これじゃ安室さんのスマホには何も届かない。だけどもう、ひとつの感情が頭を支配して何も出来なくなっていた。もう、自分だけでは抱えきれないと、震える喉でついに吐き出した。

「──わ、私の前で、他の子の話なんてしないでほしかったんです。すごく、いやだったんです。……だから、だから、わたし……」

 しかしどうしたことか、声に出してもなお、どす黒い感情が心の中をぐるぐる回っている。きもちわるい。だから胸の奥が熱くてたまらない。結局安室さんを困らせるようなことを言ってしまった。現に彼から反応は返ってこない。それで全てを察した私は、またせき止めていたストッパーが壊れて泣き崩れてしまった。

さん!?」

 ぎょっとした声が右隣から聞こえてくる。安室さんがこんなにも驚いた声、今まで聞いたことがなかった。背を丸め子どものように泣きじゃくりながら「ごめんなさい」と「すみません」を繰り返すものの、うまく音に変換することが出来ない。きっと安室さんからしてみれば、一体何を言っているのかちっとも分からないことだろう。

「大丈夫、大丈夫ですからね。僕が一方的に話して怖かったですね。ゆっくり息を吸って、吐いてみましょうか」

 まるでなだめられる子どものような気分だ。安室さんは柔らかい声で私に語り掛けた。心なしか音源が近いから、きっと少し前のめりになって言い聞かせてくれているのだろう。だけど顔を隠すように丸くなる背中をさすられるたびに、私はまた泣いてしまう。優しさが見事に裏目に出ていることを、どうすれば分かってもらえるんだろうか。

「泣かせておいて説得力がないかもしれませんが、僕はさんの笑顔、とてもすきですよ。だから笑った顔が見たいです」

 完全に気を遣われている。そして私の発言は、もしかしてなかったことにされてしまったのだろうか。

さんが笑ってくれてると、疲れていても頑張ろうって思えるんです。それってすごいことですよ」

 でも私は選ばれないんですよね。

「僕は、あなたが笑ってくれるならなんだってしたいんです。だから──……」

 消えた声と一緒に、背をさする手が止まってしまった。そしてその熱がゆっくりと背中からいなくなる。急に寂しさを覚えゆっくりと顔を上げながら、すっかり乱れた呼吸を整えた。安室さんは何か迷っているかのように目を伏せている。

 ……どうしたんだろう……?

 泣きすぎてぼんやりとする頭で疑問を抱いていると、ふいに彼の視線が私を捕える。思わず心臓を高鳴らせる私に、安室さんはまっすぐな声で言った。

「──もう単刀直入に言います。僕はあなたの恋人になりたい」
「は……」

 瞬きした拍子に、ぽろっと涙が一粒零れてしまった。何を言っているんだろう、この人は。そんな感想しか残らないことを、彼は言ってのけたのだ。こんなときに、なんてタチの悪い冗談を。耐えきれなくなって、つい視線を逸らした。

「──そ……、そういう風に言ったらあの、き、きっと安室さんのすきな人も意識してくれるようになるんじゃないですかね。わ、私もうっかりときめいちゃいましたよ。あの、つい、びっくりしちゃって」
「……さん」
「安室さんかっこいいから、きっと女の子はすぐ……」
さん」

 力強く呼ばれた名前に、逸らし続けた視線をゆっくりと上げては安室さんの瞳を捉えた。彼の目は、間違いなく私に向けられている。いつも柔らかい笑顔を見せていたと言うのに、そんなに真面目な顔をされてはまた勘違いをしてしまうよ。

 だけどそれを打ち消すようにまたひとつ名前を呼ばれたから、もうどうしたらいいのか分からない。だってその声は、冗談ではないですよとはっきり宣言されたようだったから。ぐちゃぐちゃになった私の頭は、もう論理的思考を放棄した。耐えきれなくなった涙がまた零れ落ちる。

「だ、だって……」

 震える喉は、か細く今にも消えてしまいそうな声しか生み出すことが出来ない。どんどん涙に飲み込まれていって、ついに音が消えてしまった。胸が苦しくて、もう何も話せない。言葉の代わりに零れそうになる嗚咽を必死に堪えながら、口元を手で押さえる。

 ──だって、安室さんが私のことすきになるはずないって、ずっと思ってたのに。

 たまたますきなものが同じだっただけで運命めいたものを感じたり、ふいに向けられた優しい顔を深読みして自分に都合のいいように解釈したり、そんな自分勝手に舞い上がる女のことなんて、絶対安室さんはすきにならないと思っていたのに。だから傷つかないための予防線を張っていたくせに、ほんの小さな言葉を投げかけられただけで「もしかしたら」なんて期待する矛盾だらけの私のことなんて。

 ただただ、安室さんが一緒にいたいと思ってもらえるような自分になりたいと、ずっと考えていた私のことなんて。

「……僕の言葉は、信じられませんか」

 一向にそれらしい反応を示さない私に痺れを切らしたのか、安室さんはどこかじれったそうに苦笑した。

「だ、だって、すきな人がいるって。私と、よく似た……。だから私、安室さんのこと諦めなきゃって」
「ええ。ずっと僕のことを意識してほしくて、回りくどいことばかりしてました。……すみません。自分のことばかりで、肝心のあなたの気持ちを見れていなかったのかもしれない。ずっと必死だったんです」

 どうしよう、彼は確かに私に話し掛けているはずなのに、私はその言葉の意味を理解出来ないでいる。だから、まるでどっきりか何かを仕掛けられているような感覚を拭いきれない。

「だからどうか僕のこと、諦めないで。僕はあなたのことを、どうしても諦めることが出来なかったんです。どうしても、あなたの隣だけは譲りたくなかったんです。絶対に、誰にも。だから今僕はここにいる」

 以前どこかで、人の心は脳にあるのか心臓にあるのかという議論を聞いたことがある。私はずっと前者であると考えていたけれど、今頭の中は真っ白で自分が何を考えているのかすら分からないというのに左の胸だけは存在を主張するように大きく高鳴っているから、もしかしたら正解は後者なのかもしれない。そんなことをなぜか今唐突に思った。

「どうか、あなたの隣を僕にください」

 思考回路が完全に停止した頭は、せめて字幕を出してくれと泣いている。心臓はこれからを予感してか、ますますスピードを上げた。

「ずっとすきでした」

 いつの間にか私はしあわせな夢を見ているのだろうか。しかしずっと夢見てた言葉は確かに彼の声で紡がれている。ただまっすぐに射抜く彼の青い瞳だけが、間違いなく私と現実を繋ぎとめていた。


20181223