沖田くんと斎藤くん・前篇


★どうやら斎藤さんが悩んでいるようです
「…………………」
「あれ。どうしたの、一くん。いつも以上に難しい顔して」
「いや……。…………………時に総司」
「何?」
「…あんたは、その…と……親しかったな」
ちゃん?まあ仲が悪い訳ではないかな。昨日も巡察中に会ったけどさ、相変わらず面白いよね、彼女。…それが何?」
「いや…どうしたと言われるほどのものではないのだが…。……………………………」
「…あのさあ、言いたいことあるならはっきり言ってくれない。なんかいらいらするんだけど。ちゃんのことが気になって仕方ないんなら、始めからそう言えば良いのに」
「なっ、違…!だ、誰もそんなこと言っていないだろう!人をからかうのもいい加減にしたらどうなんだ…!」
「ふーん、違うのかあ。…あ、ちゃんだ」
ゴンッ!(どうやら斎藤さんが、動揺のあまり柱に額をぶつけたようです)



★どうやら沖田さんにばれてしまったようです
「ほーらやっぱり動揺してるじゃない。相変わらずベタ惚れなんだねえ。…あ、ちなみにちゃんいないから。そもそも屯所なんかにいるわけないでしょ」
総司……あんたは……!
「はいはいうそいってすみませんでしたー」
「詫びる気が無いなら謝るな。癪に障る」
「そう?じゃあやめとくよ。…それで?わざわざそんなこと伝えに来たわけじゃ無いんでしょ?あながち、ちゃんと仲が良い僕に、聞きたいことがあるってところかな」
「あ、ああ……」
「じゃ、僕も暇じゃ無いし、聞きたいことがあるならぱぱっと聞いてよね。これから近所の子と遊ぶ約束をしてるんだから」
「(それは果たして忙しいと言える用事なのか…?)……ああ…。………そ、その…………」


間。


「…用事が無いなら僕は行くよじゃあね一くん」
「ちょ、ちょっと待て総司!!」



★どうやら斎藤さんは、報奨金をたんまり貰ったようです
「ふうん。報奨金ねえ。それでちゃんのために使ってあげたいんだ。…で、具体的に何をあげれば良いのか分からない、と」
「べ、別にのために使いたいとは言ってないだろう!…お、俺はただ、その…自分のために使う宛ても思いつかないことだし、誰かのために使うほうが有意義なのではないかと思っただけであって、け、決しての笑顔が見たいなどということは、」
「ふーん。ちゃんの笑顔が見たいんだ」
「!!!」
「お金の力で喜ばそうとするなんて、一くんも結構やるんだね。…なんかやらしいなあー」
「人聞きの悪いことを言うな!!」



★どうやら色々と案を考えることになったようです
「とは言っても、彼女は何が好きなのさ」
「…それが分かれば苦労はしない」
「だよねえ。(そもそも分かってたら僕のところになんて聞きに来ないだろうし)…それで?今の時点で考えてる案とかはあるの?」
「…う、うむ。こ、ここはやはり、着物、ではなかろうかと思っているのだが」
「…ちゃんってさあ、確か呉服屋のとこでお世話になってるんでしょ?綺麗な着物なんてごろごろあるじゃない。なのにわざわざって感じするけどなあ。まあ確かに、彼女が着物着てるとこなんて3回程度しか見た事無いけど」
「さ、3回…だと…?(お、俺は一度しか無いのだが…!)」
「…あれ、何その反応。…もしかして。一くんはもっと少ないってこと?もしくは見たことないとか。…ってことはこの着物案は、ただ単に一くんがちゃんの振袖姿を見たいだけってこと?」
「な!?ち、違う!俺はただ一般論をだな…!……も着物は嫌いではなかろうし、ご、郷に入らば郷に習えと言う観点から、」
「僕も、客観的な現状を言ってるだけだけど?」
「……お、俺は別に、が着飾った姿を見たいと思って言っているのではなく、いや、だからと言って見たくないというわけでもないのだが、ふ、普段明るく振舞っているとは言え、やはり見知らぬ土地に1人で来たというのには少なからず肩身の狭い思いをしているだろうと考えての…!そ、そもそもあの服装はやはり目立つものがあるし、やはり着物を見に纏った方が良いのではないかと…つ、つまり、あくまで第3者から見た意見として、」
「なんかさあ、耳まで真っ赤にされながら言われても、全然説得力ないんだけど」
「だ、黙れ!!」



★どうやら名案は浮かばなかったようです
「結局さあ、本人に聞くのが一番手っ取り早いんじゃない?参考に千鶴ちゃんの意見を聞いたとしても、ちゃんとはまた感性が違いそうだし。ミライのセカイとやらは、こことは随分違う所らしいしね」
「……そんなことが出来るのなら、とっくにそうしている。そもそも、どうやってに切り出せというのだ」
「別にそんな深く考えなくても、ちゃんの喜ぶ顔が見たいからって素直に言えばいいじゃない」
「そ!そんなこと言えるか!」
「じゃあどうするの?」
「そ、それは……」
「…ま、頑張ってね。健闘を祈るよ」
「ちょっと待て総司、どこへ行く」
「だから、言ったでしょ?僕はこれから子ども達と遊ぶ約束をしてるんだよ。そろそろ行かないと怒られちゃう」
「…俺の話はまだ終わってないぞ」
「はいはいちゃんに聞いて来れたらまた相談に乗ってあげても良いよ」
「だから、どうやったら聞き出せるのかという話を今、」
「相変わらず奥手だなあ。いっそ左之さんに、女の人の口説き方でも教えて貰えば?」
「そ、そんなこと聞けるか!!そもそも俺はを、く、くど…!口説こうなどとは!断じて…っ!」
「あーうんうん、そうだね今日は顔も耳も赤くなるくらい暑いかもね」
「人の話を聞け!!」




★20100519 そして短編(メルト)に続く!!←