トリップ娘と沖田くん


★どうやら茶屋で団子を頬張りながら、トリップ娘と沖田くんが雑談しているようです
「雪村千鶴…さん?」
「そう。一応土方さんの小姓さん(ていう設定)の子なんだけどね」
「(なんだろうこの隠れた何かがあるような雰囲気は…)あ、知ってる!ヒジカタさんって、鬼の副長さんなんですよね!聞いたことあります!」
「そうそう。女の人みたいな可愛らしい字で俳句を書く、鬼の副長さんだよ。よく知ってるね、ちゃん」
「へー、ヒジカタさんて俳句詠むんですか。可愛い字って、なんだかお茶目な人なんですね。イメージなかったなあ。…なんだか面白そう…」
「あ、やっぱりちゃんとは気が合いそうだなあ。ちなみに今その句集を持ってるんだけど、見たい?」
「見たいです!…でも私、俳句って意味とか良く分かんないですけど…大丈夫ですかね?」
「僕も分かってないから大丈夫だよ。そもそもこれはそういう知識いらないから。ま、読んでみれば分かるよ。…はいこれ」
「うわあ、ありがとうございます!…ええと、豊富の豊に玉だから、ほ、ほう…えーっと、ぎょく…?ほうぎょく?はっく、しゅう?…ほうぎょくはっくしゅう?」
「うん、ほうぎょくほっくしゅうね」
「…………………………(笑顔で言わないでほしい)」


★どうやら、ふと魔が差してしまったようです
「(…………………これ現代で売ったらプレミアつくかなあ…?いくらくらいになるんだろ…シンセングミって人気あるよね、多分…そんでその副長さんの俳句なら…)」
「?どうしたの?ちゃん」
「あ、いえ。なんでもないです!」

※みんなはタイムスリップしても、金儲けしてやろうなんて黒いこと考えちゃ駄目だぞ★←


★どうやら早速句集を見てみたようです
「(…うっ、文字読めない!!みみずだああ!)…お、沖田さん、読んで下さい…」
「あれ?君、字は読み書きは出来るって聞いてたけど?」※斎藤くんから
「いや、読めるし書けるんですけど、その…楷書しか出来なくて。この時代の皆さんが書く文字は、その…私にはさっぱりで…。こう…うにゃーんて適当に線を書いたようにしか見えないんです」
「そうなんだ。…分かった。良いよ、僕が読んだげる。まあただでさせ土方さんの字は癖があって読みにくいしね。貸して」
「ありがとうございまーす!(へえ、これって癖があるんだあ…分からないけど)」


★どうやら地味に沖田さんによる副長いじりが始まるようです
「──梅の花 一輪咲いても 梅は梅」
「?えっと…?よく分かんないけど、梅の花は何輪咲いても梅は梅…ってことですか?」
「そういうことだね」
「…えっと、日常に埋もれてしまった大切なことを気付かせようとしているのでしょうか」
「僕に聞かれても困るなあ。これ書いたの土方さんなんだから、土方さんに聞かないと」
「あ、そっか。うーん。シンプルの中に深い何かがあるんでしょうけど、私にはちょっとむつかしかったみたいです。凡人の頭では理解出来ませんでした。無念です」
「僕も理解してないから大丈夫だよ。まあ土方さんの感性なんて分かりたくもないけどね」
「…えっ?」
「…えっ?」


★どうやらトリップ娘は(かの有名な)梅の俳句を気に入ったようです
「…でも私、この句結構すきかもしれません」
「えっ?『それが何?』って感じの句が?」
「いや、まあそうなんですけど、なんかこう…分かりやすくて良いじゃないですか。読めば読むほど深さが出てくるような…。ほら、どんなに飾っていようが埋もれていようが、自分は自分なんだ!ってことを思い出させてくれるような気がするんですよね。まあ結局句の意味はよく分かんないんですけど」
「うん。ちゃんさ、確実に深読みし過ぎてると思うんだよね。まあ確かに趣味に走って詠んでるって部分は否定しないけど」


★どうやら沖田さんによる豊玉さんの俳句お披露目は終了したようです
「沖田さんありがとうございました!楽しかったです!」
「うん、楽しんでもらえてよかったよ」
「それしても、沖田さんがそれを持ってるってことは、ヒジカタさんと仲良いんですね!もしかして沖田さんにとって、ヒジカタさんはお兄ちゃんみたいな感じなんですか?」
「…えっ?」
「…えっ?」
「なんでそう思ったの?むしろどこをどう捉えてそういう解釈をしちゃったの訳が分からないんだけどやめてくれないかなその誤解だけは本当勘弁して」
「…え。(そ、そこまで拒絶しちゃうの!?)だ、だって、その発句集はヒジカタさんのなんですよね?」
「そうだよ」
「それを沖田さんが持ってたんですよね?」
「そうだよ」
「じゃあやっぱり仲が良いんじゃ…貸してくれたんでしょう?句集。あ、それとも貰ったんですか?」
「…えっ?」
「…えっ?」
「土方さんは恥ずかしがって隠していたみたいだけど、僕が見つけ出して、こっそり持ち出してきたんだよ」
「…こっそりって…まさか無許可で?」
「無許可で」
「(沖田さん…そんな良い笑顔で言われても…)」


★どうやら流石のトリップ娘も疑問に思ったようです…が、また話が飛んだようです
「えっとそれは…な、何のために?」
「何って、土方さんをからかうために決まってるじゃない。大声で俳句を朗読すると、たあのしいよー。今度ちゃんもやってみる?」
「え。そしたらヒジカタさんに会えますかね?」
「あれ。何?ちゃん、土方さんに会いたいの?」
「会いたいと言うか…有名人だし、会えたら自慢になるかなー…と」
「すごい度胸してるねちゃん。この京で土方さんに会いたいなんていう人、そうそういないよ」
「えへへ。あとはまあ、あわよくば俳句貰えないかなーって(そしてあわよくば、売れないかなー…って)」
「俳句?え、何?本当に気に入ったの?冗談じゃなくて?あれだけよく分からないって言ってたのに」
「え?あ、ま・まあ、その…ひ、惹かれるものがあったんですよ…そ、素朴な感じで…」
「ふうん…僕にはよく分からないけどなあー」
「(なんだろうこの罪悪感…いや梅のは本当に気に入ったんだけどなんだか…)」

「でも、どうせ会うなら土方さんなんかじゃなくて、やっぱり近藤さんに会うべきだと思うな。なんてったって、新選組の局長だしね」
「コンドウさん…。あっ!香取くんだ!!」
「カトリ?誰それ」
「私の時代で人気の人です!その香取くんがコンドウさんを演じたドラマ…あ、えーっと…お、お芝居をやっていたことがあったんですよー!(まあ私は見てなかったから詳しくは知らないけど)」
「へえ、流石近藤さんだなあ」
「(おきたさんうれしそう…)」


★どうやら脱線していたことに気付いたようです
「で、えーと、そのユキムラ?さん?が、どうしたんでしたっけ」
「あ、そうそう。君の友人にどうかなって思ってさ」
「私の?」
「そ。多分君と歳も近いし。その子新選組で預かってる子なんだけど…ちゃん、友達欲しいんだって?一くんが言ってたよ。君が凄く淋しがってるから、なんとかしてやりたいって」

※そんなこと言ってません(ただ単に沖田くんがトリップ娘と斎藤くんの話を盗み聞きしてただけです)(『トリップ娘と斎藤くん』参照)

「え!さ、斎藤さんが?本当に…?」
「うん」
「斎藤さん…!う、嬉しい…」
「(ま・口に出してはいないし、そもそも彼僕にそんな話してきてないけど、心の内では似たようなこと一くんも考えてただろうし、嘘は言ってないよね。面白いことになりそうだなあ)」


★どうやらトリップ娘は、その「ユキムラさん」や近藤さんに会うことになったようです
「近いうちに屯所に来なよ。そんな長くは出来ないだろうけど、2人に会わせたげる」
「ほ、本当ですか!」
「うん。…まあ近藤さんは忙しい人だから時間が出来るかどうかはわからないけど、一応話はしておくから」
「いえ、充分です、ありがとうございます!…でももし近藤さんと会えることになった場合、やっぱり手続きっているんですか?」
「手続き?何の?」
「え。いや、やっぱり局長さんなので、こう…わたくしどこどこの誰々と言う者でございますが、何月何日何時にあなた様に謁見を申し込みますのでどうぞご許可をお願いしますって感じの」
「あはは、何それ、いらないよそんなの!…そもそも、別に幕府の役人の会合じゃないんだから。それに別に赤の他人を近藤さんに会わせる訳じゃないしね」
「あ。そっか。あ、あの…その日斎藤さんにも会えますかね?突然行って、びっくりさせたいんですけど」
「へえ、面白そうだね。君は本当に楽しいことを提案してくれるから楽しいよ」
「えへへ、そうですか?」
「うん。じゃ、日時とか詳しいことが決まり次第、そうだなあ…文でも送るよ」
「…えっと、その、沖田さん。えーっと…」
「分かってる分かってる。楷書が良いんだよね?」
「お願いしまーす…」

こうして文のやりとりをするようになった沖田くんとトリップ娘であった!!(斎藤くん涙目な展開である)


★20100617 ちなみにこの梅の俳句がすきなのは私ですが何か問題でも←。それにしても、「トリップ娘と千鶴ちゃん」はいつになるやら…!